大人の「アートを日常に」ぺんてる株式会社とartwine.tokyoコラボレーション


10月11日よりぺんてる株式会社から全国の文具取扱店にて順次発売開始される「アートクレヨン」の一般発売発表会がPaola Lenti Tokyoショールームで開催され、編集者兼評論家の⼭⽥ 五郎氏(以下 山田)、ぺんてる執行役員サステナビリティ推進部部長の田島 宏氏(以下、田島)、artwine.tokyo代表の永目 裕紀(以下 永目)が登壇し「アートを日常に」をテーマでトークセッションを行いました。

写真左から:ぺんてる株式会社田島宏氏、山田栞氏、artwine.tokyo永目裕紀、編集者兼評論家⼭⽥五郎氏

芸術家ではない、普通の人たちがアートにどのように向き合ってきたのか

田島:本日は宜しくお願いします。山田五郎さんの大人の教養講座、私もいつも楽しく拝見しており、美術館に行く前には必ず確認してから行きます。今日は人々がアートにどのように向き合ってきたのかについて教えていただけますか?

山田:例えば絵を描くということは何も芸術家に限ったことではなく、人類の本能的なものじゃないですか。ホモサピエスが脳で考えるようになった時代から土にも岩にも絵は描かれていて、人は誰に言われるでもなく絵を描いてきているわけですよね。今でも子供は、紙とクレヨンがあればガーって描き始めますしね。だからアートは何も芸術家だけの特別なものではなく、誰もが普通に持っている衝動であり本能のようなものじゃないか、と思います。

永目:そういった意味では、私がartwine.tokyoを始めたきっかけも、ある種”本能”が影響しています。新卒で勤めていた会社では朝から晩までハードワークをしていました。そんな生活の中で唯一私の心の癒しだったのが、創作活動です。週末になって、ちょっと絵を描いてみたり、曲を作ってみたりすると心の中のモヤモヤが消化されていくような感覚がありました。「感情を昇華させることで芸術を生む」という行為は、村上春樹さんや宇多田ヒカルさんも指摘している概念です。

田島:なるほど。創作活動には癒しの効果というのはありそうですね。

山田:いわゆる絵画療法というのが昔からあります。絵を描くことによって主に心の病気を治療する。20世紀初頭のフランスの画家のモーリス・ユリトロという人は毒母のもとに生まれて育児放棄されていた。酒を飲まされ寝かしつけられ、子供のうちにアルコール依存症になってしまった人なのですが、彼はアルコール依存症の治療を絵画療法で行い、後に画家として有名になりました。絵画は分かりやすい言葉で言えば、ストレス発散になりますよね。

永目:私たちもこのワークショップ体験は、瞑想やヨガに近いものだと思っています。日常を生きる現代の我々は、17世紀に生きた人の一生分のストレスを一日で受けているとも言われています。仕事でも育児でもプライベートでも、忙しい日々を送っている方々がほとんどです。手軽にできる体験を形にすることで、アートを通じた癒しというものを提供できるのではないか、と考えています。

山田:まず没頭しますからね。没頭するということがすごく大事だと思うんですよ。皆さんもあると思うんだけど、うまく線が引けたとか、画材の滑り具合が気持ちいいとか、そういう物理的な快感っていうのが大事ですよね。

田島:これはデジタルツールにはない体感ですね。

山田:全部違いますもんね。感触が。紙とかキャンバスの種類によっても違うし、画材によっても違う。

 

コロナで変わった、アートの捉え方

田島:パンデミックによって見えてきた新しいアートの形があったのでしょうか?

山田:パンデミック時に皆さん時間ができて、創作を始めた人も多いと思います。私は機械式時計の仕組みと歴史というのを実は専門にしてるのですが、10年ぐらいほったらかしにしていた機械式時計に関する本を書き上げましたからね。

永目:歴史を振り返ると、ローマや宋など、芸術が勃興していたタイミングは、戦争がなくなって安定して、たくさんの市民が暇になった時代ですよね。もしかしたらコロナもアートという文脈ではそういうポジティブな面もあったのかもしれないですね。

山田:コロナで生まれた作品って膨大にあると思うんですよ。おそらくそこから新しく始まった何かも絶対出てきてると思うんですね。自分も含めていろいろ見直す機会にもなりましたしね。

 

artwine.tokyoとぺんてるコラボレーションワークショップについて

田島:どんなワークショップを実際に開催するのか教えていただけますか?

永目:ワークショップは2つございます。まずはブルーミングフラワーアート。アートクレヨンの特徴をお話しすると、まず一つが非常にきれいな混色を作ることができる点。昔、小学校で使っていたようなものとは違って、ちゃんと色合いを美しく表現できます。

山田:そうそう。最初8色で足りるのかって思うんだけど、混色で結構作れるんですよね。

田島:混色と重色が自由自在というのが最大の特徴というか、他の画材にはないですね。

永目:もう一つ面白いのが、指でこすることでぼかしを表現できるというのがあります。
これがやっぱり絵画にとって非常に重要で、ぼかしっていうのは遠近感や、作品にどういう表現をしたいかっていうのを直接的に表現できます。

山田:ものすごい伸びるんですよね。指で擦ったりするのが楽しいから、指は絶対汚れるんです。ゴム手袋したりしてもいいんだけど、やっぱり指でやるのが一番うまくいくし、一番気持ちいいんですよ。
クレヨンは柔らかいから、必死になってもっていると溶けて柔らかくなってくる。そういう温度で変わってくるのも面白いですね。

永目:もう一つのワークショップはワインラベルアートです。アートもワインも好きな私が始めた会社なので実は一番やりたかったものです。ワインを飲んでそのワインからストーリーを発想し、そのストーリーを絵に落としていきます。

山田:そういう商品があるみたいな気がしますね。

田島:私も参加させていただいたのですが、キャンバスに描くのとはまた違った体験ですごく楽しかったです。仕上がった作品をワインボトルに貼ってみると興奮しました。

永目:ワインボトルにラベルを貼る瞬間がいいですよね。

山田:実際ワインのラベルって昔から、いろんなアーティストが描いていますもんね。相性がいいんですね。大切な人にワインをプレゼントする時に自分で描いたラベルでプレゼントするのもすごくいいですね。

 

日常の中でアートを愉しむとは

田島:これから大人が 日常の中でアートを愉しむことにどのような意義があり、それによって日常生活がどのように豊かになっていくのでしょうか?

山田:冒頭でも申しましたが、アートは特別なことではない。誰でも描けば楽しいですし、絵が上手いとか下手とか関係ない。美術っていうのは、日常生活の中にあって、日常の暮らしを豊かにする。自分で描いてみるのもいいし、買ってみるのもいい。サラリーマンのお給料でも買えるような作品はいっぱいあります。僕はよく、絵の見方を教えてくださいとか、どうすれば絵を見る目が磨かれますかとか聞かれるのですが、「買ってみてください」といいます。買うとやっぱり人は真剣になり、いろいろなことを考える。その中で自分の評価軸もわかってくるからね。買ってみたり、自分で描いてみたり、日常生活の中で楽しんでいただければと思います。


 

【アートクレヨンワークショップ】
ブルーミングフラワーペインティングwithアートクレヨン
ワインラベルアートwithアートクレヨンに関してはこちらからご予約いただけます。


【ART CRAYON(アートクレヨン)】
2023年11月より実施したクラウドファンディングで支援総額1880万円を達成した、新開発の固形画材「ART CRAYON(アートクレヨン)」を 2024年10月11日(金)より順次発売開始。詳細はこちらからご覧ください。
https://www.pentel.co.jp/products/artmaterials/artcrayon/